『鶏口牛後(けいこうぎゅうご)』…3級
【意味】大きな組織に隷属するよりは小さくても人の上に立つほうがよいということ。「鶏口」は「鶏」の口で、小さな物の大切な部分(小さな組織の長)のたとえ、「牛後」は牛の尻で、大きな物の卑しむべき部分(大きな組織の末端)のたとえ。
【補説】「寧(むし)ろ鶏口と為(な)るも、牛後と為(な)るなかれ」の略。
【故事】中国戦国時代、蘇秦(そしん)が韓(かん)の王に「小王とはいえ一国の王であれ。大国の秦に降参してはならない」と説いて、韓・魏(ぎ)・趙(ちょう)・燕(えん)・斉(せい)・楚(そ)の六国合従(がっしょう)を勧めたという故事から。
【出典】『史記』<蘇秦伝(そしんでん)>
【類義語】『鶏尸牛従(けいしぎゅうしょう)』…1級 「尸」…@しかばね。A形代(かたしろ)。Bおこたる。
『鶏群一鶴(けいぐんのいっかく)』…準1級
【意味】多くの凡人の中で、一人だけきわだってすぐれていること。たくさんの鶏の群れの中にいる一羽の鶴(つる)の意。
【補説】「群鶏一鶴」ともいう。
【出典】『晋書(しんじょ)』<けい紹伝(けいしょうでん)>
【類義語】『鶏群孤鶴(けいぐんこかく)』
『鶏鳴狗盗(けいめいくとう)』…準1級
【意味】つまらないことしかできない人のたとえ。また、つまらないことでも何かの役に立つことがあるというたとえ。「鶏鳴」は鶏の鳴きまね、「狗盗」は犬のようにこっそり盗みをはたらくこと。人をあざむいたり、卑しいことしかできない者のたとえ。転じて、そんな人間でも何かの役に立つことがあるということ。
【補説】「狗盗」は「こうとう」とも読む。
【故事】中国の戦国時代、秦の昭王(しょうおう)に捕らえられた斉(せい)の孟嘗君(もうしょうくん)が、犬のように盗みをはたらく食客と鶏の鳴きまねのうまい食客の働きで脱出し、無事逃げ帰ったという故事から。
【出典】『史記』<孟嘗君伝>
『鶏皮鶴髪(けいひかくはつ)』…準1級
【意味】年老いて衰えたさま。「鶏皮」は皮膚が鶏の肌のように張りを失って衰えたさま、「鶴髪」は鶴のように白くなった頭髪をいう。
【出典】玄宗の「傀儡吟(かいらいぎん)」
『鶏鳴之助(けいめいのたすけ)』…準1級
【意味】内助の功のたとえ。もと国君に内助の功のある賢夫人があることをいう。
【故事】賢夫人が鶏が鳴くのを聞き、すでに朝で夫が出勤に遅れるとして夫を起こそうとしたが聞き違いで、実はまだ夜中であった。このように自粛して夫につとめる賢夫人を詠じた歌による。
【出典】『詩経(しきょう)』<斉風(せいふう)・鷄鳴(けいめい)>
『甕裡醯鶏(おうりけいけい)』…1級
【意味】見識が狭く世間知らずな人のたとえ。かめの中にわく小さな羽虫の意。「裡」はなかの意。「醯鶏」は酒や酢を入れた甕(かめ)にわく小虫。かつおむし。
【補説】「甕裡」は「甕裏」とも書く。また、「醯鶏甕裡」ともいう。
【出典】『荘子(そうじ)』<田子方(でんしほう)>
【字体】「鶏」の旧字体は「鷄」。「盗」の旧字体は「盜」。「髪」の旧字体は「髮」。
【鶏を割くに焉(いずく)んぞ牛刀を用いん】…1級
《意味》鶏を料理するのに、どうして牛を料理する大きな包丁を用いる必要があろうか。小事を処理するのに、大人物または大掛りな手段を用いる必要はない。取るに足りないことを大げさな方法で処理する必要はないことのたとえ。<『論語』>
《表記》「安んぞ」とも書く。 《参考》「いずくにぞ」の転じた語。